「非常用持ち出し袋を見直してみたら、水の賞味期限が6年も切れていたんですよ」。後輩記者の話を聞いて、「うわあ、うちも非常用の持ち出し品を4年ぐらいほったらかしにしてるよ」と答えつつ反省した。災害への備えがおろそかになっている。台風による水害のリスクが高まる時季はこれからが本番だ。9月1日の防災の日に合わせ、専門家のアドバイスを参考にしながら、記者(39)と夫(39)、長女(6)、長男(3)の4人家族の災害への備えを見直してみた。(松沢佳苗)

4年間ほったらかし
2019年10月、台風19号によって長野県内にも甚大な被害が出た。その際、長野市に住む記者は慌てて防災用品を買いそろえ、まとめてミカン箱サイズの木の箱に突っ込んだ。その後は、箱の存在をときどきは気にしつつも、結局そのままで過ごしてきた。

「本当に必要な備え」のコツは?
本当に必要な備えとは何か。地域防災に詳しい信州大教育学部の広内大助教授(52)=地理学=によると、まずは持病の薬など代用品がなく「絶対になくては困る物」を用意。その後に、無理なく背負って避難できる範囲で「あったら助かる物」を足していくことがコツという。

長野県の「信州防災アプリ」
広内助教授のアドバイスを受け、今の我が家に必要な備えを家族で話し合った。「誰と、どこへ、どうやって行くのか」を考えるために活用したのは、長野県の「信州防災アプリ」だ。自分や家族が取るべき避難行動を時系列で整理する「マイ・タイムライン」を作成できる。この「マイ・タイムライン」を見ながら、災害時の行動について家族会議をした。
あれもこれもで荷物が増える
非常用持ち出し袋に入れる物を書き出したメモ。不安に駆られてあれもこれもと用意したくなるが、「持てない物は持てない」
本当に必要な物
何が必要か、何が役立つかは人や状況によって違うのだ。自分に当てはめて考えると、子ども2人が安心して避難所で過ごせることなどを重視した。
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