2015年、長野県佐久市で起きた悲劇的な事故について、再び注目が集まっています。当時中学3年生だった和田樹生さんが車にはねられ、その後亡くなりました。この事故について、運転していた男性は過失運転致死の罪で2度裁判にかけられましたが、和田さんの両親は救護義務違反「ひき逃げ」の罪での起訴を求め、約4万筆の署名を集めて検察に提出しました。

事故後、男性は飲酒を隠すために近くのコンビニに行き、口臭防止剤を購入し服用しました。この行動が「ひき逃げ」に当たるかどうかが裁判の争点となりました。一審の長野地裁は「ひき逃げ」の罪に当たるとし、懲役6カ月の判決を下しました。

しかし、二審の東京高裁では逆転無罪の判決が下されました。裁判長は、「被告がコンビニで口臭防止剤を買って戻るまでの時間は1分余りで、すぐに救護している」と述べ、「飲酒運転の発覚を免れようとする意志と救護しようとする意志は両立する」とし、「ひき逃げ」には当たらないとしました。

この判決に対し、和田さんの両親は強い憤りを示しました。「救護義務違反(ひき逃げ)に当たらないということは考えられません。なぜわれわれの思いというものが司法に届かなかったのか」と父親は語りました。母親もまた、「被害者の生命や体の保護を全く無視した判決。最低の判決です。樹生にかける言葉が見つからないです。こんな国に産んでごめんねとしか言えないです」と涙ながらに語りました。

東京高検は判決を不服とし、最高裁判所へ上告しました。和田さんの母親は、「このままこの刑が確定したら同様の犯罪が増えてしまうとすごく危機感を感じていましたので上告していただいたと聞いてほっとしました」と語りました。

この事件は、日本の司法制度に対する信頼を揺るがすものであり、被害者の家族の悲痛な声が全国に広がっています。最高裁での裁判が待たれます。
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