航空母艦(空母)と一般的に呼ばれる艦は、2023年現在としては飛行機またはヘリコプターの発着艦を、「全通式」という1枚の飛行甲板を通して行っています。しかし、この形に落ち着くまでには紆余曲折がありました。かつては飛行甲板が艦の中央で分断されていたり、ひな壇のように多段式になっていたりしたものもあったのです。

世界で初めて、軍艦から航空機を飛ばそうと計画したのは、何事も奇抜な発想が生まれ易いイギリスでした。第一次世界大戦中の1917(大正6)年3月、軽巡洋戦艦だった「フューリアス」の甲板上に、滑走路を取り付けるという改修を行いました。これが世界で初めて空母といわれています。

しかし、改修を終えると、とんでもない欠陥が明らかとなります。中央にあった艦橋が邪魔どころか危険極まりない構造物になってしまったことです。

そして、「赤城」「加賀」に関しては装備していた20cm連装砲塔の必要性が薄れたことから改装するという判断が下り、「加賀」は1935年(昭和10年)6月25日、「赤城」は1938(昭和13)年8月31日にそれぞれ一段の全通甲板になりました。なお「フューリアス」のほかに「カレイジャス」「グローリアス」が多段空母としての形を残したままでした第二次世界大戦に突入しています。
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