エンジン音を響かせ、船がカキの養殖棚に横付けします。クレーンを操作し、こぶし大のカキがつり上げられます。その一つを手にとり、貝のふたを開けると、つるんとしたクリーム色の身が現れます。

これは、下村水産の3代目社長、浅井絢美さんがカキの養殖に情熱を注ぐ様子です。父が急逝した後、彼女は家業を継ぎました。
浅井さんは3人姉妹の長女で、祖父が始めた養殖事業を地域有数の規模に広げた父の背中を見て育ちました。しかし、父は「女には無理だ」と娘たちに継がせる気はありませんでした。
それでも浅井さんは家業の将来を心配し、養殖を覚えたいと父に申し出ました。父は反対しつつも、休日に手伝うことを許しました。しかし、その半年後、父が亡くなりました。
浅井さんは会社を辞め、家業を継ぐことを決意しました。しかし、その道のりは容易ではありませんでした。新米社長の采配に反発するベテラン従業員が一斉に辞め、取引先も離れました。
しかし、父の友人の同業者らの助けを借りて、新スタッフを増やし、経営を軌道に乗せました。今では、「おいしい能登かきを多くの人に届けたい」と意欲をみなぎらせています。
浅井さんは新たな挑戦もためらいません。食害対策として、稚貝をカゴに入れて大きくする方法を試みています。また、水揚げが途切れる夏場の売り上げを確保するために、瓶詰め商品を開発しました。
さらに、浅井さんはオイスターバーを開く構想も温めています。「生食用に安定して出荷するには、浄化装置のある水槽で雑菌を抜き去る処理が欠かせない」と語り、そのための新しい施設を建てる準備を進めています。
「女には無理」と言われた力仕事を継ぎ、美味しい能登かきを全国に届けるために、浅井絢美さんは日々奮闘しています。彼女の挑戦は、女性が力仕事を継ぐことの可能性を示しています。
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