母の年金は「月9万円」です。持ち家とはいえ生活費が心配なのですが、赤字にならないのでしょうか?持ち家があるからといって、老後の生活を年金だけで乗り切れるとは限りません。その可否を検討したいなら、65歳以上の支出がどの程度なのかチェックすると良いでしょう。そして、受給予定の年金を比較して、支出よりも年金のほうが低ければ、生活資金の不足を警戒しなければなりません。
65歳以上の生活にかかる金額
老後の出費に関して目安を知りたいなら、総務省が発表した令和4年の家計調査年報が参考になります。世帯のタイプごとに家計のデータが載っており、65歳以上単身無職世帯の平均支出についても書かれているからです。同世帯のデータによると、1ヶ月の消費支出は14万3139円です。内訳としては、3万7485円の食費が最も高額で、1万7893円の交際費がそれに続きます。住居費はこれらより低い1万2746円ですが、この金額は持ち家のケースも含んだ平均値にすぎません。つまり、賃貸住宅で暮らしているなら住居費はもっと高くなります。

月9万円の年金だけで大丈夫?
上記の15万5495円という支出額を基準にして、年金だけで暮らしていけるのか考えましょう。月9万円を受給すると仮定した場合、どの月も支出のほうが大きくなってしまいます。毎月6万5495円の差額が生じて、年間のマイナスは78万5940円にも及ぶのです。もちろん、お金の使い方には個人差があるため、必ずしもこれほど不足するとは限りません。あくまでも平均値との比較である点に注意は必要ですが、基本的には年金だけで支出をカバーしていくのは困難といえます。
貯蓄だけでは補えない場合の対策
十分な貯蓄がない人は、支出をカバーするために年金以外の収入源を確保しなければなりません。厚生労働省が発表した令和4年の平均寿命は、男性が約81歳で女性は約87歳です。自分もその年齢ぐらいまで生きると想定し、年金と貯蓄だけではどれくらい足りないのか計算しましょう。その不足分を補う代表的な手段として労働が挙げられます。健康面に気を付けながら、できるだけ働くように心がけると良いでしょう。令和3年には高年齢者雇用安定法の改正が施行されるなど、定年後も職に就きやすい環境が整ってきました。
安心できる老後に向けて実情を正しく認識しよう!
年金暮らしが可能か考えるなら、受給額だけを気にするのではなく、老後の平均支出に関するデータを参考にすることが大事です。平均支出が上回った場合、貯蓄でカバーできるのか検討しなければなりません。それが難しそうなら、定年後の労働や年金の繰下げ受給なども視野に入れる必要があります。持ち家があっても楽観視せず、実情に合った対策をなるべく早めに講じましょう。
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