『渡邊美希子の母です。あの子がいなくなって考えたことがあります。それは、誰もが自信を持って生きていける社会があって、精神的に強くて優しい人が多ければ、こんな事件は起こらなかったのでは、ということ。』

――2023年2月、高知市で、事件の被害者遺族の講演会が行われました。自身の経験を語ってくれたのは、滋賀県に住む渡邊達子さんです。2019年7月18日に起きた、京都アニメーションへの放火殺人事件(36人が犠牲)で、35歳だった、娘の美希子さんを亡くしました。
事件の報道で、娘の職場が炎に包まれるのを目にした達子さん。安否を確認するため、連絡を取ろうとしますが、電話はつながりません。
――連絡が取れない娘のもとに向かった、達子さん。待ち構えていたのは、報道カメラでした。
――「あれだけの火事だから、けが人もいる。最悪、この世界にいられなくなった状況になった人もいるのでは」と考えながら、達子さんは会社に向かいました。
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