“命を救う”という理念のもとで理解を広げてきた慈恵病院(熊本市)の「赤ちゃんポスト」。しかし2020年3月までに預けられた155人のうち、早期新生児は85人にすぎず、残りがある程度育った赤ちゃんだったとされる。取材を続けてきた元熊本日日新聞社記者でジャーナリストの森本修代さんによれば、現場は想定外の事態ばかりで、それこそ初日から驚くような出来事があったそうで――。
開設日に預けられたのは3歳児だった
2007年5月10日。赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」が設置された。

蓮田は新しく整備したポストの前で、数十人の報道陣を前に「緊張しています。命を守ることが一番大切。理解が深まるよう頑張っていきたい」と話した。
「お父さん」が迎えに来ることはなかった
遠い県外から預けられ、周囲には熊本弁を話す大人ばかり。言葉もなじみがなかっただろう。物心ついた子どもにとって、どれほど過酷な環境だったろうか。
3歳児の預け入れは、熊日が5月15日付朝刊1面トップでスクープとして報道した。
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