6月21日、モーニング娘。やAKB48の「育ての親」として知られる夏まゆみさん(以下、夏先生)が亡くなった。教え子たちは口々に「夏先生から生き方を教わった」と語る。ダンスにとどまらず、「育ての親」といわれる指導はどう特別だったのか。「叱るのが難しい」ともいわれる昨今、どのように導いたのか。モーニング娘。のメンバーとして教えを受けた保田圭さん、後藤真希さん、石田亜佑美さんに聞いた。

では、プライベートでの交流はあったのか尋ねると、一様に「ありませんでした」と答える。夏先生は、著書『教え子が成長するリーダーは何をしているのか』で「相手との関係をつくることと、仲良くなることは、似ているようで別物」と記した。距離を保たないと観察力が鈍る。失敗を経て、指導者の役割に徹するようになった。

夏先生は「エースはeverybody」と伝え、どのポジションにいても誰もが成長して輝くように、振付を通した人材育成を行った。それを象徴する代表作が、一人ひとりに異なる振付が与えられた「LOVEマシーン」(1999年)だ。

教え子との距離を保ちながら、振付を通して生き方を教える。夏先生の指導に迫った。指導者には「嫌われる覚悟」が必要

モーニング娘。に2期として加入した保田圭さんは、1998年5月、2ndシングル「サマーナイトタウン」発売前のダンスレッスンで、夏先生と出会った。集まったのは「歌手」になりたい女の子で、保田さんふくめ「アイドル」になりたいわけではない。「やりたいこと」とは違うことに対し簡単に音を上げる教え子たち。夏先生の指導には自然と熱が入り、当時テレビで放送されていたレッスン風景は緊張感であふれていた。

夏先生は「指導者には嫌われる覚悟が必要だ」という考えを持っていた。放った言葉によって、自分がどう思われるかはわ

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