第105回全国高校野球選手権記念大会で、史上最長ブランクとなる107年ぶり2度目の優勝を果たした慶応(神奈川)のナインが24日、新大阪の宿舎から帰路に就いた。大会本部の配慮もあり、過去の優勝校では“恒例”だった凱旋フィーバーはなく、ナインは新横浜駅で解散となった。

これも“新時代”のやり方か―。かつて甲子園決勝からの凱旋といえばフィーバーがつきもの。最寄り駅から学校までの間にはファンが祝福に押し寄せ、ナインが成し遂げた偉業の価値を知る―というのが夏の終わりの風物詩だった。
だがこの日の慶応ナインは新横浜駅に到着後、現地解散。学校での報告会もなく、それぞれが静かに日常へ戻っていった。新幹線の案内板には「優勝おめでとうございます 感動をありがとう! 新横浜駅 駅員一同」と表示され、スマホで撮影する利用客もいた。
大会本部側は雑踏事故防止の観点から、準優勝の仙台育英とともに駅や空港での取材NGを通達。お隣の韓国では昨年10月、ソウル梨泰院雑踏事故も起きているため、安全第一に動いた形だ。同校キャンパスのある横浜市内の東急東横線・日吉駅の周辺では、野球部の凱旋を期待して一時多数の人が集まったが、選手らは現れず。あまりの人の多さに学校関係者が「選手は来ません」と呼びかけると、「え~」と声が漏れ、ため息交じりに帰る人もいた。
代わりに大阪市内の宿舎では森林貴彦監督(50)と大村昊澄(そらと)主将(3年)が一夜明けの取材に応じた。森林監督は約1000件のメッセージが届いたことを明かし、ナインには「この甲子園優勝というのを人生最高の思い出にしないように、と話をしようと。まだ何十年も生きていくので、もっと素晴らしい経験をしてほしいという話はしようと思います」と語った。
大村主将は選手たちの様子に「解放されて、食べたかったお菓子を食べてる人もいました」と内情を明かし、今一番やりたいことに「ディズニーランドに行って『美女と野獣』に乗りたい」と笑顔だった。
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